あの海辺から先のことは、 すべて夢だったのだと片付けることもできる。 大人だからね。 自分にだって嘘はつける。 それ以上の力で感情を小さな箱の中に もう一度閉じ込めることだって、たぶん。 あの夜までが真実で、 そこで永遠に時を止めておきたかった。

約束を、した。 友人でいよう、と。何が起きても それは変わらないよね、時間を越えて、と。あの海辺でシリウスを見上げながら。何か起きた。

もう、いい大人なのだから。 約束は、きっと守る。それが、望まれる愛のあり方ならば。 そうするしか、 他にどんな方法も残されていないのだし。 みんなが、笑顔で暮らすために、 必要なことならどんなことだってする。 たとえ、涙で身体の中が一杯になった…

怖くてたまらなかった。幸せは、やってきて、そして去っていく。最初から知っているから。 解っているから。 約束、だから。 時間がワタシの掌からこぼれ落ちていく。 何度も強く手を握りしめたのは ただ怖かったから。 止められないものを止められないかと…

早朝の即答を求めるメール。 呼吸を、忘れた。 決心をする日は 突然、前触れもなくやってくるものだろうか？それとも、本当は出ていた答えを 正面から抱きしめるきっかけに過ぎないのか。 窓を開けて、深呼吸を１つ。 他に選択肢はない。 OKの即答をした。

音の粒は、絡まり、調和し、反発し、 追い掛け合い、追い立て合い、 再び１つに絡まり合って、そして ホールに溶けていく。最後に客席と共鳴し、 ミューズはそこに舞い降り、微笑んでいた。 音楽するというのは、生きることそのもの。 人生の折り返し地点で …

古い古い傷、そして暖かな思い出のかけら。いずれにしろ、 ３回くらい圧縮した上に封印していた小さな箱。開けたのはあなた。でもカギを渡したのは私。開けない自由もあった。 カギを捨てる自由もあった。でも開けたよね？ そして今、 その中身の大きさに、…

あの夜はあなたが追い掛け、 わたしはためらい、 でも覚悟を決めて応えた。私が追えば、 あなたは逃げる。引いて行く潮ならば、 またもどるのかしら？

お金を配って何になる？ 日本人の特性は、世界中でもまれに見る 「貯蓄好き」なのに。それをもらったら貯金でしょ？ 生活が少しずつ、苦しくなってきているのは 毎日の食費がゆるりゆるりと上がっているせい。もちろん、他にモノもだけど、 食べることはけし…

友人の3回忌が近づいてくる。残していった娘も小学生になった。 どんなに泣いても昨日は戻らない。 あなたの命も。 一つの曲を同じ呼吸で演奏した、あの瞬間も。私たちは永遠に高校生だったお互いの笑顔を忘れない。 今年の演奏会も、来るよね？ チケットは…

外壁工事のため、マンションは大きな蚊帳の中。晴雨の区別 昼夜の区別 風の向き 何もかもが、ぼんやりとしか伝わってこない。自然の流れをシッカリ感じていないと とてもとても、とても 疲れるということがよくわかった。呼吸が、苦しい。

言葉のあとの沈黙の優しさも、言葉にできなかった溜息も、体温も、寄せてきた波の形さえ覚えているのに。 此処には、あなたは居ない。 失われた昨日は永遠に戻らない。 それをもう冷静に見つめられる年になった。でも知っているから、哀しい。 知っているか…

人生には時折、不思議なことが起こる。偶然にみえたり、必然に見えたり、運命に見えたり。 若過ぎたり、遅すぎたり、どうにもならない立場だったり。 言い訳や慰めの方法も知っていて、経験という財産も持っている。 しかし、どんな言葉を連ねても答えは同じ…