深呼吸する言葉・音楽

間違っていない?

ずっとずっと25年も変わらないのは音楽。 私の中で響くのは弦楽器の残響音。 男が変わろうが、白髪が増えようが、どこに住もうが、 好きなのは変わらない。 おそらく此岸で最期の呼吸まで。 愛してるって表現は間違っていないかな?

15の時から音楽仲間だった、 5年前に年をとらなくなった友達。 今回は 体の傷と、 心の傷の 痛みに悲鳴を上げながらステージに乗る。 客席を見渡せば2階席のいつもの場所に 「大丈夫。ココにいるよ。」 と微笑んでいた。

演奏会で受け取った優しさと、 2度と同じメンバーで演奏できない喪失感。 どんな慰めも25年を消すことはできない。 思い出すのは笑顔ばかり。

演奏会はいつも生き物。一瞬の命。 その日の天候、お客さま、そして演奏者で 別の顔になって始まり、そして終わる。 リハーサルは最期へ向けての序奏。

何十回演奏会をしても、 舞台上手で待機の緊張感が好き。 これからの瞬間に作り出すモノは、 音楽だから、その瞬間から壊れ出す。 演奏者も聴衆もその場での一期一会。 Con Grazia(第4回演奏会)2010/11/28(日) 13:30開場 14:00開演 軽井沢大賀ホール

東京から高崎まで練習に行って、 来週は軽井沢で演奏会。人前に出るのが辛い「心の風邪」を、 私の出す音込みで受け止めてくれる場所。

いつまでも変わらないのだと思っていた。 音楽仲間だから。もう四半世紀以上。でもそれぞれの人生の中で変わっていたことに ある日突然気づくこともある。 だって四半世紀の時間だもの。

今、ステージに立っている? 今、譜面をめくっている?私… そんな凄い録音に出会ったのは 人生で初めてです。

どんなときにも、 どんなにかすべてを投げ出したいときにも。 私を引き留めたのは、音楽だった。 落ちるのは簡単だけど、 踏みとどまる心棒は音楽だった。

合奏が楽しいのは、音が重なるからだ。 そして一つの世界観を構成する。 人生もそうあれば、たぶん楽しい。

唄うように生きられたら、いいのに。

不思議なことが、ひとつ。 けして才能がある訳じゃないのに、 人生のどんなときにも音楽が根っこにある。

シャンパンのように、軽やかな演奏がしたい。 赤ワインの渋みのような、後に残る演奏がしたい。

愛を言葉で語るのも、音楽で語るのも、 聞く耳を持つ人がいるなら同じこと。 華燭の祭典

譜面は演奏者の存在によって、命を得る。 演奏は演奏者の呼吸によって、飛翔する。

合奏をするということ、 それ自体が、大きな深呼吸だ。 何十人もが呼吸を合わせなければ、 最初の一音が、鳴らない。

朝から夜中まで練習漬けの2日間。 大人には、こんな真剣な遊び方が楽しい。 音楽のことだけ考えていればいい、幸せ。

邦題の「彷徨える霊」、はニュアンスがずれている。 「彷徨える魂」の方が正確。 人気があるとは言えないオペラの間奏曲だが、 私には四半世紀分の想いを打ち明ける、相手だから。

23年前の夏、高校生最後の演奏、全国大会。 最後の残響音が消えるまで、音楽以外何も見えなかった。 逝ってしまった友人もいるけれど あの音はまだ天然色のまま、響いている。

音楽は難しくない。 好きか、嫌いか、それだけだ。 弾くのも聞くのも主にクラッシック音楽です。 なんて言うと、 「クラシックは難しくてね」という人がいる。難しい、 というのは自分に嘘をついている証拠。

合奏で震えるような歓びを感じるのは同じ。 高校生で全国大会の大きな賞を獲ったときよりも、 25年後の今の方がむしろ、純粋かもしれない。

今の仲間も先輩も後輩も、 その日が初対面の間でも、 音楽と酒に酔うのは一緒で同列で、幸せだ。

音楽をしない人にとっては、ただの記号。 でも作曲者の意図に添えたなら それは身体の芯が震えるような歓びへの、 パスワードの群れ!

譜面に書かれているのは、記号の羅列に過ぎない。 ただの印刷物でしかない。 (ときどき裏側が息子のお絵かき用紙になったりする:資源有効利用) これを楽器や歌声でで再現したとき、それは音楽だ。 魂の入った演奏なら、人生そのもの。 音楽を譜面から生き…

私の場合、音楽で、 時には、書くことだったりする。 でも 命の力が弱くなっているときは 書くことが出来ないので、 聴くことで、命をつなぎ止める。

深呼吸する言葉・酸素が無いのと同じだから。

どうか、 音楽だけは取り上げないでください。 大気の中に酸素が無いのと同じだから。 私から、 静寂を取り上げないでください。 静寂の中にしか音楽は存在しないのだから。 音楽することは生きること。 生きて言葉を紡ぐのと同じこと。 それは、私の中で一…

深呼吸する言葉・響くということ

空を見上げて、弾いていないときにこそ考えてみる。 楽器の響き、ホールの響き、それだけが音楽じゃない。 聞く人の心に響くのかどうか。 弾いている自分の命に響くのかどうか。

深呼吸する言葉・呼吸と共にはじまって、呼吸と共に終わるもの。

それが音楽。 生きることは、音楽そのもの。 音楽するということは、生きることそのもの。 まあまあ、 大作曲家の意志には多少追いつかない指もあるが、それをご愛敬と呼ぶほど、あきらめても居ないんだよね。 だって魂が飛び立つから。 弾け無い音符の間か…

深呼吸する言葉・どうしても奪えないもの。

それは、内側からわき上がる音楽。(詩でも、絵でも、ひとにより形は様々だろう) しかし内側からわきあがったものは けして冷めない。消えない。 生涯を、かけてつきあうと決めたのだから。 だれにも、奪えない。 恋はおろか 愛にすら。

深呼吸する言葉・高みまで駆け上る

私の血肉である、音楽も文学も無くたって生きていけるモノのの筆頭だ。でももし人生にその二つがなかったら? 軽々と高みまで飛翔する魂を経験する音楽をしたり 何千回も繰り返しつぶやいてきた詩歌がある日、 突然目の前のスクリーンが開く如くに理解できた…