深呼吸する言葉・自宅から祖母を・・「おくりびと」

ふるさとの雪が見たいな


祖母は長いこと認知症だった。
40代後半くらいから
「まだら惚け」は始まっていたらしい。

母は耐えた。
帰る家はもう無いから、と。
6人兄弟姉妹の末っ子の母は。



自宅から祖母を送った。
2年もの長い間、
たった2度しか見舞わなかった父は泣き崩れ、
1日おきに汚れたおむつを持ち運び
腰と膝を壊した母は泣かなかった。


私は黙ってそれを見ていた。
祖母が私にくれると約束していた
金の小さな指輪は
煙と一緒におじいさんのところに行ってしまった。